本読み、音楽、アニメ、ゲームなど……じぶんのためのメモ的なものを、気まぐれに載せています。

2014年7月1日火曜日

「茗荷谷の猫」 『ドトールコーヒー「勝つか死ぬか」の創業記』 「活字のサーカス」

0:42 Posted by どぼん , , 5 comments

05/29 : 木内昇 「茗荷谷の猫」 

――緒方の言う通りにしてみようか。分枝は、そう思った。また、内側に立ってみるのだ。「物語」には別段、嘘偽りはないのだから。信じられないけれど、現実にそれは起こったのだ (本書より「茗荷谷の猫」, p. 93)。
◆短編集なのだけど、読み進めるたびに全編がわずかに繋がっていることに気がつく。そこに共通して描かれるのは、人生をなんとなく過ごしながらも、みずからの「生」を確立しようと向き合った人たちの物語だ。あるいは自分の生を確立するために明るかった妻を失い、あるいは伝説の黒焼きによって世を救おうとするがことごとく挫折する(失礼だけど、この挫折っぷりがまた面白い)。けれど、世を救おうというその願いは、思わぬかたちで小さく叶う。この世界はなんと波乱に満ちているのだろう。

◆こう考えると、この本はこういえるかもしれない。生の確立と挫折をとおして、さくらを「めっける」ような、当人の意図のとうてい届かない波乱に満ちた世界と戦いながら生きる人びとと、波乱のなかでの不思議なつながりが描かれている、と。

◆読みながらいろいろと考えさせられる、ぼくにとってとても深みのある一冊でした。



06/16 : 鳥羽博道 『ドトールコーヒー「勝つか死ぬか」の創業記』

 それはひと言でいえば、企業哲学の違いに尽きる。儲かりそうだからやるのか、いっぱいのコーヒーを通じて安らぎと活力を提供したいと心から願ってやるのか。 [...] ただ単に形式だけをまねてやったものは感動、共感、共鳴を呼び起こすことなどできない (p. 113)。
◆タイトルどおり、ドトール創業者みずからドトールの歩みについて語っている一冊。ドトールにはしょっちゅうお世話になるので手に取ってみた(ただし愚痴を書くと、某なんとか馬場などのドトールは消しカスに遭遇することが多いので決して行かない。まあ、僕一人行かないところでなんてこともないに違いないが。また、同系列店のエクセルシオール・カフェも、なぜか忙しいノマドさんやうるさい客が多くて落ち着かない。ゆったり過ごせる店舗はないものか……と、余談が長くなってしまいました)。

◆人前で赤面してしまうほどだった著者は、持ち前の負けず嫌いな性格と、赤面してしまう自分にもできることをみつけて遂行する努力によってそれを克服してきた。あるいは、悪い印象と価格上昇によって、「喫茶店が人びとの手から離れてゆくこと」に対する危機感が著者の使命感となり、自分を克服する原動力になったのかもしれない。つねに顧客に目線をむける著者の姿勢は、昔から今までドトールの基礎になっているという。

◆著者の気迫を感じる一冊だった。よく年輩の方が「若者は気概が足りない」というけれど、この本を読めばそれも納得できる。なにせ、著者は「勝つか死ぬか」で生きてきたのだ。つねに競争に身をおいてきた著者の言葉は、競争を回避しようとする傾向があるといわれる若者にどのように伝わるのだろうか。



06/22 : 椎名誠 「活字のサーカス」 

 しかし、日常ふだんから人前で気軽に抱きあっているアメリカ人のそれふうのしぐさと違って、突如として白昼人前で抱きあう日本人というのは、なにか妙に意識的で重くて、ヘンに淫靡で猥褻で、見ていてひどく気分がわるい。まあ、早い話がおそろしくカッコ悪いのだ (本書より「ブキミな日本人」, p. 190)。
◆いろいろな本が登場するエッセイと言った方がいいかもしれない。この本をとおしてみえてくる著者の世界は、みずからを活字中毒者というように、活字と密接に結びついている。本を読んでそれを現実に結びつけているのではなく、現実にあることを描くうちに本が浮かんでくるのではないかと思う。この本のように、それを自然にできるのは、そうとうの読書家だと思う。これは知識量の差というよりも、本と対話することができるかどうかの差ではないか。


◆個人的に面白いと思ったのは「おせっかいニッポン」。たとえば日本では、ふつうの人がくぐるわけもない踏切にわざわざ「くぐるな」と書かざるを得ない(なぜなら、書かないと、クレームをつける”暇なおせっかい”がいるから)。いわれてみれば、わたしたちの身の回りに「分かりきった注意書き」の多いこと! このように、読書関連の本というよりは、ふつうにエッセイとして面白く読める。


5 件のコメント:

  1. 少しお邪魔しない間に、またまたさらっと素敵な本を読んでらっしゃる。

    「活字のサーカス」
    おう、私も活字が好きで…活字素敵ですよね(´∀`*)ポッ←変人 楽しめそうな本です♪難しいと感じなさそうなところがまたいい(結局は難易度を気にする笑

    ドトールコーヒー
    どヴぉんさん よく行かれるところなのですね!私はたまーに 利用させてもらってます。最後いついったか記憶にないですが笑 スターバックスよりかは利用する機会が多いです。 近場にもありますが遠出したときも あちこちに見つけられて便利、入りやすいイメージあります。 創業者の話に耳を傾けてみるというのは、自分なりのお気に入りのお店を見つける、一番の近道かもしれませんね。 努力って…大切だなぁ…あぁ耳が痛い。

    「茗荷谷の猫」
    タイトルむずかしい。ちょっと教えていただいただけでも、ほんと なんだかいろいろ考えさせられそうな本ですね。この本の登場人物さんは、自分の挫折をどのように感じてるのか気になる、私挫折ばっかりなんですが でも挫折は必要だったなと思ってます。

    って、どヴぉんさん読むスピート早いですね~読書の日でも決めてるんですか?私なっかなか進みませんよ、数日中に読み終えたい!という本が何冊もあります(ずっと前から笑

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    1. お久しぶりです(^^)

      「活字のサーカス」は面白い本ですし、こういう読書がしたいなーと思わせてくれますね。ちなみに、ぼくの読む本では、難しい本は一切ありません(笑)

      「ドトール」は自宅、図書館、学校のそばにあるので、ちょっと立ち寄ることが多いです。食べ物が充実していますし。創業者の話は・・・あまり聞き入りすぎると批判的になりにくいところがありますね(^^;) じつはお薦め度はあまり高くありません(暴露)

      「茗荷谷の猫」はおすすめです。彼・彼女らの抱えていた問題は、目の前の壁を乗り越えて、自分の意志で人生を生きること・・・ある意味で誰もが立ち向かう問題です。それぞれの人物がそれぞれの人生を求めるのだけれど、その闘いに勝つこともあれば負けることもある。なにかを手にしたり、失ったりすることもある。それが自分の意思だということもあればそうでないこともある。そんな彼らの闘いの人生がどこかでつながっているというのもまた面白いなと感じました。

      暇人なので、本を読む時間は十分にあります(笑) 2日に1回ぐらいは、2時間の読書タイムをとっています(さぼりがちなのは秘密です)。本の内容によって、たとえば「50ページあたりの区切りの良いところまで読もう」と決めて、読み終えたら次の本を読むという感じですね・・・つまり暇があれば、これぐらいは読むスピードが遅くても数だけは読めるという (苦笑)

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  2. いつもご丁寧に、そしてやさしく話してくださって、ほんとにありがとうございます。 どヴぉんさんみたいに、どうやったらなれるかなー、うーん。私には無理か(・∀・)…笑 どヴぉんさんからはすごくよい刺激を受けているのです。 感謝の気持ちでいっぱいです♪ 自分が自分らしいと感じることがなくなっていたんですが、少し自分らしさを感じられる時間が、でてきた気がしてます。(意味わからん笑

    メモや休憩ありの読書タイムだとしても、やっぱり読解力がずば抜けているのでしょう。 寝る前に読書タイムをとっていたとき、毎日読んでた本、まだ中ほどにしおりが…。 私、もしかして、頻繁にフリーズしてるのか。焦

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    1. ぼく自身も、St' さんから刺激を受ける部分が大いにあります。僕の日記へのコメントも、St' さんご自身のブログもそうです。こうして刺激をもらえるのは、St' さんが優しい方だからということに尽きます。

      というのはお世辞でもなんでもなくて、刺激を受けることができるというのは、その刺激に対して双方が拒絶を示さないからこそできるのだと思うのです。そういう関係を築くのは実際にはとても難しいことですから、St' さんがこうしてコメントを下さるのは、じつはすごいことなんですよね。

      楽しみのための読書は、ペースなどと言いだしたら苦痛でしかないと思います。楽しみ方は人それぞれいろいろあるはずです。

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    2. まぁ、なんと、ありがとうございます、気を遣わせてしまいお世辞まで。…と思ってたら、違うのですか、うれしすぎるではないですか。うれし泣 笑 そんなふうに言われることないので、やさしくて素晴らしい方に言われちゃってまぁなんと! 正直にうれしいです!恐縮です!

      すごく素敵な表現の仕方ですね。たしかに、お互いによい関係を築くのは本当に難しいですよね。変なコメントや間違ったコメント、あるいはどヴぉんさんの中で「この意見はおかしいだろ」と思うようなコメントをしてしまうこともあるかと思いますが、そんなときは、遠慮なく文句ゆってやってください(´∀`)

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